(吃音のあなたへ)吃音を職場や友人にカミングアウトする?しない?
こんにちは。Hanaです。
Youtubeチャンネルに、ご質問をいただきました。(送っていただいた方、ありがとうございます!)
吃音について、職場や友人にカミングアウトするか、しないか、という問題です。
これに対しては、皆さんも少なからず悩んだことがあるかと思います。
結論から言ってしまうと、私はカミングアウトするかしないかは本人次第だと思います。その時の状況に合わせて、伝えたいなら伝えればいい。
でも、ただ「吃音を持っている」ということを伝えるだけでは、単なる自己満足になってしまいます。伝える時は、大切なポイントがあるのです。それを、今回はお伝えしたいと思います。
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目的と希望をしっかりと伝える
私自身、前の職場で23年間仕事をしていましたが、カミングアウトしたのは最後の2年間でした。だから、20年以上、職場の人にはお伝えすることなく、仕事をしていたことになります。
吃音を人に話すということは、自分のいちばんの弱点を打ち明けるということ。自尊心が強く、プライドの高い私にとって、それは耐え難いことだったのです。
でも、2年前、病院に行って「吃音は現在の医学では治らない」と言われ、その時に任されそうになっていた大きな仕事をどうするか、という問題に直面した時に、話さざるを得なくなりました。
その仕事はある会議で人前で発表する、というものでした。しかもそれは大事な会議で、時間をきっちりと守らなくてはならないような、吃音がある自分には荷の重い仕事だったのです。
そこで私は上司に「その仕事を受けてやり遂げたい気持ちもあるが、自分の意思に関係なく、声が出ないという『吃音』を持っているから、この会議を円滑に進めることができないかもしれない。どうすべきか」と相談しました。
結局、その仕事は適任の方にお願いすることとなりましたが、ここで大切なことはただ単に「自分が吃音である」ということだけでなく、相手にどうして欲しいのか、ということをはっきりと伝えることです。
そうしないと、相手は「吃音であることはわかったけど、それでどうすればいいの?」と困惑してしまいます。
吃音を持つ人にとっては、吃音である、ということがあまりに大き過ぎて、それを伝えることだけで精一杯になってしまいがちですが、それを伝えた上で、相手にどうして欲しいのか、そこまできちんと考えて伝えることが大切なのです。
相手と自分との違いをしっかりと知る
そして、友人に話す場合も、相手と自分との「違い」があることをちゃんと理解した上で伝えましょう。
あなたというアイデンティティを形作る要素が10個あるとしたら、あなたにとって吃音はその9個くらいを占めているように思っていませんか?
しかし、他人にとっては、あなたの吃音は言うまでもなく、その1個に過ぎません。
つまり、あなたにとって自分の性質の9割を占める吃音を打ち明けることは一大事ですが、それを聞く相手にとっては、それは「優しい」とか「背が高い」とか「面白い」とか「頭がいい」といった他の性質と同じだけの重さのものでしかないのです。
だから、あなたが意を決して「私、吃音があるの」と打ち明けたとしても、相手の反応は
「そうなんだ。・・・それで?」
といったものかもしれません。
あなたは、こんなに悩んで悩んで打ち明けたのに、そんな反応?とがっかりするかもしれませんが、それはある意味、あたりまえの反応なのです。
そのことを、まずはちゃんと理解する必要があります。
誰も私の気持ちをわかってくれない・・・どうせ吃音は孤独な障害なんだ・・・などと殻に閉じこもることなく、相手にとって吃音はその程度でしかない、つまり相手はあなたの他の性質も全て含めて、あなたという人に魅力を感じて、親しくしてくれているのだ、という事実を、まずはしっかりと受け止めましょう。
「全然気にならないよ」にショックを受けない
友人に打ち明けたとき、「全然気にならないよ」と言われることがあるかもしれません。
そんな時、この人は私の痛みをわかってくれない、と辛い気持ちになるかもしれませんが、その友人は決してあなたの気持ちを軽視しているわけではなく、本当に「気にならない」のです。
先ほどもお伝えしたとおり、相手にとってあなたの吃音はあなたの一部でしかないから。
あなたの優しさ、賢さ、笑顔、全てを含めた、あなたという人間に魅力を感じているから、「(それに比べて吃音なんて)全然気にならないよ」ということなのですね。
その言葉を素直に受け取り、相手が受け取ってくれている「あなたの魅力」を大切にしていきましょう。
まとめ
吃音は、あなたの一部でしかない。
周りの人たちは、あなたをそれだけで判断しているわけではありません。
あなたには、他にもたくさんの魅力があります。その魅力を、吃音だけで無くすことなんて、できるわけがないのです。
吃音をカミングアウトすることは、本人の自由に任せていい。でも、以下の二つのポイントはしっかり押さえておきましょう。
①ただ伝えるだけではなくて、相手にどうしてもらいたいのか、希望を伝える。
②あなたにとっての吃音と、相手にとっての吃音のウェイトが違うということを理解する。
吃音であることを隠して、普通の人のふりをするのは辛いこと。そんなことをする必要はありません。自分らしくありのままで輝くために、信用できる人にはしっかりと伝えて、あなたらしく背伸びせずに過ごせるようにしたいですね。